モワイエーン

日々起こった事について、又興味について書いていきたいと思います。

哀しみの塔

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思い出話はあまり文体にするのは好きではないがこの思い出だけは文にしたいと思う。地元の中学のすぐ近くに電波塔が立っている。電波塔は丘の上にあり中学のグランドからはその塔を見上げることができる。大きいがアンテナが外され何も機能していないムダな電波塔だったが私にとっては特段の思い入れがある。中学三年の時にクラスが同じになったT君の家に厚かましくも放課後、入り浸るようになった。彼の家(マンション)は電波塔のすぐ近くにあり、テーブル等が備え付けられている屋上からはその塔や夜景等を楽しんでいた。T君は引っ越しその後めっきりその屋上には行かなかったが、屋上自体は初めてできた彼女に告白した場所であり大学受験時に行き詰った時にたまに行っていた。T君の引っ越し、初めての彼女への告白、大学受験で行き詰まった時に行った事がその屋上と付加的ではあるが、すぐそばにある電波塔に思い出が詰まっている。そんな電波塔が青いシートを被り解体されていると最近知った。その塔が無くなると思うと今までの思い出が私から引き剥がされ一掃されるような気分がし、それを一目でも見れなくなったり誰もそのことについて話をしない限り、塔は形而上で存在し続け、まるで針の進んだまま誰にも見られない時計のような存在になり、私のその思い出はやがて形而下の塔と同じように更地になるのかと思うと切なくなる。写真や動画等という媒体に残っていないものだからより一層深く感じられるのか。この肌寒い秋の終りに。